カレシ
「…ッうっわあ~っっ!!!」
目の前に広がるのは、まるで星屑を散りばめたような景色。
真っ暗な夜の中に、チラチラと瞬く街の光。
不規則に揺らめきながら輝くその光景に、あたしは言葉をなくしながら見入っていた。
先輩はあたしをおろすと
「どや?そこら辺の夜景とは、比べもんにならんやろ?」
と満足そうに言った。
「すごすぎるよ…」
そう答えてあたしが先輩を見上げると、先輩もあたしを見ていた。
トクンッ
いつもより近い二人の距離に、あたしの心臓はまた静かにハネる。
ドキドキとはまた違う、心地のいい緊張。
「ゆいちゃん…俺、もう耐えられへんわ」
先輩はそう言うと、あたしを優しく抱きしめた。