カレシ

あたし達は身を寄せ合いながら、言葉少なくしばらく夜景を眺めていた。


あたしは先輩と思いがひとつになれた幸せを、ゆっくりと噛みしめていた。


「なぁ…今日は、帰したくない」

先輩がポツリと言う。

あたしも静かにうなずいた。



「ほんなら、そろそろ行こか?」

「うんっ」

あたし達は車に乗ると、手をつないで元来た道を帰った。


心がポカポカあったかい。

いつもよりも優しい気持ちだった。


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