カレシ

帰りの車の中も、行きと同じように楽しかった。


「なぁゆい、俺んこといつから好きやってん??」

「いつからって言われてもー」

「もしかしてさっきとか?(笑)」

「…実は、そう(笑)」

「ぇえっ!?そんなん俺、めっちゃ切ないやん~」

「あははー!嘘に決まってんじゃん!!」

「何やねんもう~焦るやんけ」


ちょっと拗出したね恭くんが、たまらなく愛しく思える。


「…ほんとはね、」

「ん?」

「声かけてくれるちょっと前から、恭くんのこと知ってたんだよ?」

あたしはちょっと照れながら言った。

「えー、ほんまかいな」

「ほんと!ずっとね、まきとあの人かっこいいって言ってたんだ」

「えー」

「だってねジャガリコ食べてた時は、ほんとは恭くんのこと探しに行ってたし…」

「おー…」

「同じ講義の時も、チラチラ後ろ見てたんだよね(笑)。恭くん、講義の途中で、一回出てったでしょ?」

「えっなんで知ってんねや??」

「だから、あたしも恭くんのこと見てたってこと!!」


そう言うと、恭くんはやっと信じたらしい。

とっても嬉しそうな顔になった。


「なんで一回出てったの?」

「ん?あーあれな、ゆいに話しかけるんに、気合い入れにコーヒー飲みに行ってた!(笑)」

「あはは~!ただのサボりじゃん(笑)」

「ちゃうねん、ほんま緊張していてもたってもいられんかったんやもん(笑)」


その後も、あの時はどーだったとか、あの時はこー思ってたとかで盛り上がった。


二人共、お互いにヒトメボレしてた奇跡を運命だ!なんて言い合って、とっても幸せだったんだ。

ずっとこのまま一緒にいれればいい、って本気で思ってた。








この後、どん底に突き落とされることも知らずに。

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