カレシ

こっちに戻って来たら、もう夜の10時になろうとしていた。

あたしの家に一回寄ってもらい、お泊まりセットを持って行く。

あたしは高校の時から、帰らないことも多かったので、お母さんは特に何も言わなかった。


「ほんなら、俺んち向かおか」


初めて行く恭くんのアパート。

ちょっとワクワク。


恭くんの家は、大学の近くにあるアパートの一階だった。

駐車場に車を止めると、恭くんは

「ちょっとここで待っててくれるか?部屋めっちゃ汚いねん、片してくるで」

と焦りながら言った。

「汚いのなんかいーよ?一緒に片付けるし」

あたしが答えると

「えっ??いや、ほんまはんぱないくらいの散らかりようやからさ!!ゆいはここにおり!降りてきたらあかんで??」

と断固として断られた。




その時は

どんだけ汚いんだよ(笑)

としか思ってなかった。


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