カレシ

「…俺、もう無理だわ」

沈黙を破ったのは
良くんのその一言。

耳を疑う。

「はっ?ちょっ、別れるってこと!?」

良くんは何も言わずに
ただうなずくだけ。

「やだよっごめん!ほんとごめんね!?別れたくなんてないよ!?」

いきなりすぎてパニック。

良くんは何も言わない。

「良くん!あたし嫌だよ?ずっと良くんと一緒にいたいよ!?良くんは違うの?あたしのこと好きじゃないの!?ねぇっ良くん!!」

良くんの肩をつかんで揺さぶる。

「ゆいのことは好きだよ…でも俺もう不安になるの嫌だ。耐えらんねー、お前どうせ大学のやつと浮気すんだろ…今日みたいに」

えっ今日のことが浮気…
そんなつもりなんて全然ないのに。

行かなきゃよかった
話さなきゃよかった

後悔が頭を巡る。


「嫌だよぉ良くん…別れたくないよぉ…もうしないっもう絶対不安にさせないからっ」

良くんは首を横にふるだけ。

う…そでしょ……?

急に涙が込み上げてくる。

良くんの服をつかみながら涙で出しづらくなった声を振り絞る。

「嫌っ嫌嫌っ!あたし何でもするからっ良くん!不安ならあたし大学やめるよ!?ねぇっだから別れるなんて言わないでっお願い…」


あぁ…神様 お願い

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