カレシ
それで完全に目が覚めたのだろう。
ガバッと起き上がると、にらむような目であたしを見る。
「なんでや?あんだけひどい仕打ちうけたんに…なんで寄りなんか戻すねん、意味わからん」
恭くんの声が、だんだん荒くなる。
「お前さっき俺んこと、好きやて言うたやんな!?あれは嘘やったんか!?なぁて!!答えろや!!」
あぁ…―なんであたしが…
なんであたしが怒鳴られなあかんのっ!!!
頭の中で何かがブチッと切れた。
「………―じょ……ゃね―…っ」
「あ?何やて?」
「てめぇ彼女おるやねぇかて!!!」
言ってしまった…
言うつもりなんかなかったのに―…
「は?彼女?おらへんわんなもん」
恭くんの答えはそれだった。
ここまで来てもまだ、認めようとしない。
呆れた…
「あ?何しらばっくれとんじゃテメェ!!ほんならケータイ持って来いや!!!」
あたしがそう言うと、恭くんは黙った。
あんなケータイ見られたら、言い訳なんか出来ないもんね