カレシ

恭くんの顔が、パッと明るくなり

「絶対ケリつけて、幸せにしたるからな!」

ほんまにありがとう…
と言う恭くんの顔を見て、あたしは微笑んだ。



「俺、今日もっかい別れ話してくるから」

恭くんが言う。

「誓約書でもなんでも書いてやるから、別れてくれって言うてみる」

あたしは少し戸惑った。

待つもりではいた。

でも少し、彼女のことがかわいそうになってきた。

あたしが彼女から、恭くんを奪ってしまうんだ。

罪悪感が生まれのが分かる。

「なんか…彼女に申し訳なくなってきた」


あたしが現れなければ、恭くんは彼女とそのまま一緒にいたんだろう。


「何言うてんねん、ゆいのせいやないよ。ほんまはゆいがここに来る前から、そう思てたんや。こんな気持ちで、あいつの前ではもう笑ったれんから」

恭くんはそう言うと、あたしの顔を見る。

「金返すまでは、別れてもあいつとたまに連絡とらなあかん。けどそれでもいいって言うてくれるんなら、別れたらすぐ俺はゆいを迎えに行きたい」


その言葉が嬉しくて…

あたしは笑顔でうなずいていた。


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