カレシ

やっぱり別れ話をした時は、
いつもの様にキレられて、その後泣かれたらしい。

いつもならそこで諦めて、慰める恭くんだったけど、今日は違ったみたい。

その場でゆりさんに土下座をして、別れてくれって頼んだんだって。

理由も、あたしのことも、自分の気持ちも全部伝えてきたって恭くんは言った。


「そしたらな、もうアンタなんかいらないって荷造りしはじめたわ。」

「そっか、悪いことしたな…」

「ゆいは悪ないよ、何も知らんかってんから。あ…それとな?」

「何?」

恭くんはちょっと言い辛そう。

「まだな、大きい荷物もあるから、そう言うんは明日一緒に運んでやることにしたんやけど…」

「あぁ、そっか。しょうがないよね」

なんだか気分が重くなった。

「それであいつと会うのは最後やからな。お金は振り込みやし」

そうだよね、ワガママ言っちゃだめだ。

あたしは笑顔を作った。


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