カレシ

朝起きると、体調はだいぶ良くなっていた。

お母さんがバタバタと部屋に入ってくる。

「ゆい、体調はどう?」

なんだか大学に行く気がしなかったあたしは

「まだ微妙」

と答え、大学を休むことにした。

「ゆっくり休みなね、お母さん仕事に行ってくるから!」

そう言い残すとお母さんはまたバタバタと出て行った。

うちの家は母子家庭で、お父さんはいない。でも代わりにおじいちゃんとおばあちゃんが一緒に住んでいるから、お世話にも仲がいいとは言えないけど心細くはならなかった。

お母さんが部屋を出て行くと、今度はおばあちゃんがお粥を持ってきてくれた。

「まだ治らんかねゆいちゃん」

「微妙ー」

ほかっといてほしい気持ちだったあたしは、素っ気なく言うと布団をかぶった。

あたしは何故か、家族には優しくできない。心の中では感謝してるのに、言葉で伝えられない。

「お粥食べなさいよ」

おばあちゃんはそう言うと、部屋を出て行った。

あたしはまた眠りについた。

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