カレシ

パッと部屋が明るくなった気がして目が覚める。

体を起こして周りをみると、ほとんどの生徒が机にうつ伏せていた。

まきもその一人。

「まきぃー帰るよっ」

まきを揺り起こすと、なんとなく後ろを向いてみた。


「!!!」


あの人いるじゃん!
戻って来てたんだ!

なんだかうれしくなった。


まきはのろのろと起きると、

「ねむてー」

と愚痴を言っている。

あたしは配られたプリントをかばんにしまいながら横目であの人を見ていた。

あの人が帰る時、あたしの横通る!

たったそれだけで少女のようにドキドキしていた。

あの人はサッと立ち上がると、歩き出した。

…もーすぐっもーすぐあたしの横通るっ!

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