カレシ

外に出ると、もうとても暗くなっていた。

駅前は人がいっぱいだから大丈夫だけど、バス停から降りたらちょっと怖そうだな、と先輩が迎えに来てくれるのがありがたかった。

そーだ、先輩に連絡しなきゃ。
なんとなく、メールじゃなくて電話をしてみることにした。

ちょっとドキドキしながら電話をかける。

プルルループルルルー

「もしもし?ゆいちゃん?」

「あっ先輩!今バイバイしたよ」

あたしがそう言うと、え!?まじで??と、先輩はちょっと焦ってるみたいだ。

都合でも悪くなったのかな…

なんて思っていると

「15分くらい前に連絡せぇ言うたやんっ今外で一人なん!?」

と聞いてきた。

「え…うん、一人だけど…」

なんか先輩怒ってる…?

「もうあほー、こっから駅前まで10分くらいかかるんや。外で一人で待たせるのなんか、危ない思たから連絡早めにせぇ言うたのに心配なるやん!」

あぁそう言うことか。
先輩はあたしのこと、心配してくれてたんだ。

優しいな…

「ごめんなさい…」

あたしが謝ると、電話の向こうでバタバタしているのが聞こえた。

俺もう帰るから!と。

「もしもし?今からババッとぶっ飛ばして迎え行ったるからな、変なおっさんとかに着いて行ったらあかんで!何かあったらすぐ連絡せーよ!ほなな!」

プーップーップーッ…

あははっ先輩焦りすぎだし

さっきはあんなにイラ立っていたのに、今はもう優しい気持ちになれていた。

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