カレシ
先輩と電話を切ってから5分たつかたたないうちに、先輩からメールが入った。
☆もうちょっとやからな!
待たせてんまにごめんな
別に先輩のせいじゃないのに
☆先輩悪くないよ
あたし大丈夫だから
ゆっくり来て
それからまた5分後ぐらいに、
今度は電話がかかってきた。
電話の第一声が
「無事か!?」
あたしはもうおかしくって、声を出して笑ってしまった。
「何笑てんねん!まあ笑てるくらいやから大丈夫やな、もう着くで」
その言葉を聞いて、急にドギマギし出した。
やっば緊張する~!!
「おーいゆいちゃーん、どこおる?俺着いたで?黒のオデッセイわかるか?」
「えっと…」
「あっ!おったおった!こっちやで~」
「こっちってどっち~」
駅前は車通りが多く、路駐してある車もたくさんあって、あたしは辺りを見回す。
「窓から手ぇ降ってるやつやで」
「窓から手ー窓から手ー…」
呪文のように呟きながら探していると、あっ!あった!
黒い車の中から、手だけぷらぷらと出ている。
その光景がまたおかしくて笑える。
「先輩わかったよ!今から行く!」
あたしは電話を切ると、向かいの車線に止まっている車に走って行った。