大嫌いは好きのうち



「おい、美波」


久しぶりに呼ばれた名前に

目を真ん丸くして振り返る。



「うわ、酷い顔」


そんな事言われてもお構いなし。





「ちょ…っ、悪かったって。泣くなよ」



知らぬ間に涙が溢れてきた。



名前で呼んでくれた事が嬉しくて、嬉しくて。

そんな事一生ないと思ってた。





「あー面倒くせぇ」




嫌そうな顔をされて涙を急いで拭いた。


でも簡単に止められるものではなくて、

彰ちゃんに見られないように下を向いた。







.
< 2 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop