浸透


あたしは泣きじゃくりながら喚いた。

すると碧くんがあたしへ腕を伸ばし抱きしめようとした。


あたしはそれを振り払った。


「気持ち悪い。やめて」



「いちご…ごめん…ごめんな…
ほんとにあいしてるのはお前だけだよ
りんごは…お前に似てるから…」

あたしは碧くんのその言葉で一瞬で自分の顔を憎んだ。


「碧にあたしへの恋愛感情はないです…
だけどあたし…は…」


怯えたような目で言うりんごを無視した。



「別れないよ。別れない。」


「え?」



別れたらりんごにとられちゃう。


ああもういや、この現実から逃げ出したい。






ねぇ碧くん どうしたらこの状況から逃げ出せる?



どうしたら胸が引き裂かれなくなる?




ねぇ こたえて






あたしが 独り占めしたらいい?






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