浸透

「とりあえずりんごは帰って」


「え…あ…うん…っ」


りんごはもたつきながら部屋から出て行った。



「碧くん…あたし傷ついちゃった」


にこりと笑いながら、碧くんにそう言った。


「…どうしたらいい?」

「そんな目であたしを見ないで。
こんなふうにさせたのは碧くんだよ。」


あたしは碧くんの赤く腫れた頬に触れた。




「責任とってね?」




あたしは碧くんの机の方に行き、カッターを探し出した。

「お前…なにすんの…?」

「いいからいいから♪あ、あった♪」


碧くんのところに戻る。


右手に握られてるカッターを見て碧くんは顔を真っ青にして土下座をした。


「ごめん!ほんとごめん!
反省してる!もうしないっつか
りんごとは切るから!
ごめん!!俺はお前を愛してるよ!!」


「…うるさいなぁ…」


カチ、カチ、カチ…刃を出す音が部屋に響き渡る。




座り込んでる碧くんの左腕を引っ張り、刃を当ててみた。




「おまっ…!!なにやろうとしてんの!?
やめろ!俺はどこにもいかない!」

抵抗する腕を強く握った。

恐怖で力が入らないんだろう。


腰が抜けたのかベッドにもたれかかり座り込んでるあなたは
あたしに何されてもいいとしか思えない。



「どこにもいかないと言われて、
納得するばかなんていないの。

あたしを苦しめたんだから
それ相応のことをしてもらわなきゃ。」


「だからって…っ!」




「あたしのこと愛してるんでしょ?
ね、碧くん。」







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