浸透
りんごの部屋の前で足を止める。
そしてドアノブに手をかけ、右に捻ろうとした
だが、鍵がかかっていた。
あたしはノックした。
「りんごちゃぁん?
なんで鍵かけてるのかなぁ?
お話があるんだよーっ!」
「………ぃや…」
部屋の向こう側でか細い声が聞こえた。
「あたしとりんご、どっちが嫌な目にあったか
わかってるよね?」
ガチャガチャガチャガチャガチャ!!
あたしは何度もドアノブを回した。
何度も何度も何度も何度も!
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
「わかった…っ!開けるから…っ」
怯えた声がしたあと、ベッドが軋む音がして
こちらに向かう足音が聞こえた。
ばーか
ちょろい
ガチャリと鍵が解かれたのがわかり、あたしは一気にドアノブを回してドアを勢いよく開けた。
ゴッという音が部屋に響いた。
うずくまるりんご
あたしはりんごを押しのけてドアを閉じて鍵をかけた。
「いたかった?あははごめんね」
「…いっちゃん…」
怯えるような目であたしを見た。
ぱっちり二重に大きな黒目。
長いまつげを震わせて…
目の前に自分がいるみたい。