浸透

あたしが怒られたのを知りながら、碧くんは下敷きを借りる。


もちろん怒られた。


ばかなの?ってからかおうとしたら

「これでいちごと一緒」


と笑っていわれた。



胸の奥が、あったかい…。





「碧くん…っ」

「こんな時くらい、あおいってよんでよ」

「あははっどんなとき〜?」


「あっ!」


碧くんが何かを思い出すかのように突然声をあげた。


「なに?」

「俺今日用事あるから一緒に帰れないわ
ごめんな。」

「わかったぁ…」

ちょっと、凄いさみしいな


「そんな顔すんなって。」


碧くんはそう言ってあたしの頭を優しく撫でた。



「コラお前ら!授業中に何やってんだ!」


先生の怒鳴り声が教室中に響き渡った。

みんながクスクス笑う。


あたしは顔を赤らめ、うつむいた。



恥ずかしい…

でも 頭をなでれたことが嬉しくて




碧くん…




< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop