浸透
「おい高梨。そういえば坂山のノート
返すの忘れてたんだよなぁ。」
つまり、それをあたしに任せろと?
断るところだろうけど、もしかしたら碧くんに会えるっ!
でも用事って何の用事なんだろう?
家にいないかもしれない…
まぁそれならそれでいいけどさ…
「わかりました、渡しておきます」
「本当たすかるよ。」
「いえー。」
あたしは職員室から出て、教室にかばんを取りに行き、一階まで降りた。
ああ 今日は一人で帰るんだぁ…
いつも通り駅まで行って、電車を待つ間、碧くんとメールをした。
受信
【今日ほんとごめんな
めっちゃ急な用事だった】
送信
【気にしてないよっ
あおくんだいすきっ】
受信
【ありがとおれもすき】
あ 電車がきてた。
あたしは急いで携帯をポケットにしまって電車に乗り込んだ。
ガタンゴトンと揺られながら、行き先は碧くん家。
そういえば碧くん家に行くこと言わなくていいかのなぁ?
いなかったらべつにどうでもいい情報だし…
いたらびっくりするかも!
そうだ、驚かしちゃお!
あたしは含み笑いをして、携帯をいじっていた。
何も知らずに。