TO-KO
それから三日、黒髪の女は倒れたまま床に伏せ目を覚ますことはなかった。
そして、四日目の今日。あれから自然と彼女の世話係となっていたベルフェゴールから、アルフレッドに彼女が目を覚ましたと連絡があった。
そうして今、アルフレッドは女にあてがわれた部屋に向かっている。その部屋の前には、部屋のドアに寄りかかるようにベルフェゴールが立っていた。
『アルフレッド様。どうぞ――』
『い、いいのか??』
ベルフェゴールは優雅に、部屋に向き直りそのドアを開けようとする。だが、思わずそれを止めてしまった。女性の部屋にそんなにすんなり入って良いものかと。
『彼女にはもう話は通してありますから、大丈夫ですよ。なに今更、緊張なさっているんです、女遊びが趣味の癖に。まるで、童貞の坊やみたいじゃないですか』
『い、言うなー‥』
『本当のことでしょう』
『う゛……』
それとこれとは別だと言いたかったが、ベルフェゴールの冷たい眼差しが此方を射抜いていてそれは口の中に閉じ込めた。
アルフレッドは深く息を吸って、吐きドアをノックする。女性の部屋なんて、たくさん出入りしているのに――どうしてこうも緊張するのか分からなかった。
『――はい』
おとなしめでいて、意志の強そうな声がした。
『失礼する』
そう言って、中へと一歩踏み出す。すると、ベッドで上体を起こして此方を見ている彼女とアルフレッドは目が合った。やはり、魅力的な瞳の色だった。
しかし、実際その顔は怯えも見せず、誰だろうと疑問の色も出さず、ただ無表情だった。
そんな彼女は、やはり浮き世離れをしているように感じた。
『――ここの屋敷主のアルフレッドだ。―――君の名前を聞いてもいいか?』
『瞳子、です。……あの、此処は……?』
普通なら此処の場所は?という意味に捉えるだろう。しかし、その問いを何処の世界ですか?という意味に自然と捉える事が出来た。
もし、クロノアから聞いてなかったらはどうしていただろうかとアルフレッドは思った。
『トーコ、か。良い名前だ。―――此処は、シュテルンという世界のという国にある』
『――――シュテルン…―』
無表情で此方を見ていた瞳子は何か思案するように俯いた。
そして、四日目の今日。あれから自然と彼女の世話係となっていたベルフェゴールから、アルフレッドに彼女が目を覚ましたと連絡があった。
そうして今、アルフレッドは女にあてがわれた部屋に向かっている。その部屋の前には、部屋のドアに寄りかかるようにベルフェゴールが立っていた。
『アルフレッド様。どうぞ――』
『い、いいのか??』
ベルフェゴールは優雅に、部屋に向き直りそのドアを開けようとする。だが、思わずそれを止めてしまった。女性の部屋にそんなにすんなり入って良いものかと。
『彼女にはもう話は通してありますから、大丈夫ですよ。なに今更、緊張なさっているんです、女遊びが趣味の癖に。まるで、童貞の坊やみたいじゃないですか』
『い、言うなー‥』
『本当のことでしょう』
『う゛……』
それとこれとは別だと言いたかったが、ベルフェゴールの冷たい眼差しが此方を射抜いていてそれは口の中に閉じ込めた。
アルフレッドは深く息を吸って、吐きドアをノックする。女性の部屋なんて、たくさん出入りしているのに――どうしてこうも緊張するのか分からなかった。
『――はい』
おとなしめでいて、意志の強そうな声がした。
『失礼する』
そう言って、中へと一歩踏み出す。すると、ベッドで上体を起こして此方を見ている彼女とアルフレッドは目が合った。やはり、魅力的な瞳の色だった。
しかし、実際その顔は怯えも見せず、誰だろうと疑問の色も出さず、ただ無表情だった。
そんな彼女は、やはり浮き世離れをしているように感じた。
『――ここの屋敷主のアルフレッドだ。―――君の名前を聞いてもいいか?』
『瞳子、です。……あの、此処は……?』
普通なら此処の場所は?という意味に捉えるだろう。しかし、その問いを何処の世界ですか?という意味に自然と捉える事が出来た。
もし、クロノアから聞いてなかったらはどうしていただろうかとアルフレッドは思った。
『トーコ、か。良い名前だ。―――此処は、シュテルンという世界のという国にある』
『――――シュテルン…―』
無表情で此方を見ていた瞳子は何か思案するように俯いた。