TO-KO

シオンは本当に出来た人間だと瞳子は思っている。
いつも明るく、よくテレビに映る彼と普段の彼は微塵の差もない。
まったく裏表のない、さっぱりとした性格の持ち主である。
更に、良いことに


「――――女性を大切になさいますし、ね」

「アルフレッド様とは大違いってか?」

「………そうは言っていませんが」

「いや、顔がそう言ってる。お前さんを見てりゃ、わかるさ。いつもアルフレッドを目で追ってるって、惹かれてるって。自覚がなくとも、な」

ラーグは目を細めてこちらを見ている。
自覚、はありますと言いたかったがそんなことを言って冷やかされても困るため、口には出さない。ラーグは、懐から煙草を取り出し器用に火をつけそれを口に含んだ。



「――――まぁ、アイツには色々あるからな。責められはしないけど、同じ男としては勘弁してほしいね」


と嘆いてはいるが、顔は穏やかだった。子を温かく見守る、親のようだ。
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