TO-KO



「―――あともう一つ、情報があってね。…彼らは黒髪の美しい女性を探し回ってるらしいんだ。」



クロノアは、命辛々逃げてきた人の話らしいけどと続けて言うと此方を見つめた。
その目は、確信めいた意志が感じられた。何かを悟っているようだ。何か、は嫌な予感しかしない。





「……クロノアは……、それをどう思ってるの?」


それでも聞かずにはいられなかった。


「――多分、君を追って君の世界の何者かが、この世界に来ている―」

「………そんな…。一体誰が……?」


クロノアから、その言葉が出てくるのは想像の範囲内ではあった。恐らくは、瞳子を追いかけてきた何者かがいるのだろう。だが、世界を渡るなんて彼女のいた世界の技術的に信じられないことだった。



「心当たりはないの?」

「…あたしの世界に世界を渡る術はないと…思うわ。でも、あたし呪術について詳しく知らないから…可能性があるとしたら呪術の中にあるのかもしれないわ……」

「なるほど、ね…」

「呪術は使える人間は限られてる。だけど……、その誰かを特定するのは難しいと思う」


「――――じゃあ、君の主……、名前は何て言ったっけ?」

「神緯(かむい)?」

「そう、神緯。神緯にはお付きの者はいる?」

「ええ。いるわ、奏(そう)という右腕が。それがどうかしたの?」

「………おかしいな、昨日に瞳子の世界に行ったときには誰も付いてなかった」
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