TO-KO
ずっと独りだったと、ワントーン下がったクロノアの声は、あたしを困惑させた。ただ、それ以前に大きな事実に気が付いたのだ。
「…………奏は呪術の使い手だわ…」
「―――可能性は、あるね」
「でもっ」
可能性―――。
それは、奏がこの世界に渡ってきて街を襲っているという可能性だ。
しかし、彼とも長いつき合いで、彼の人の良さ、ストイックさを知っていた。時々、危険思考な時もあるが、突飛な事はしなかった。だからこそ、そんなことをするとは瞳子には信じがたいことだった。
それに、もしそれが事実だとしたら―――
「………もし、本当にあたしを追ってきているのなら……アルフレッド様達に危険がー‥」
それが本当に心配だった。
私を屋敷に置いて下さっているだけでも有り難いと思っているのに、危険な目に遭わせるなんて言語道断だ。
「それは大丈夫。僕が此処に、この屋敷に居る限り、みんなを守れる。屋敷の外には結界が張ってあるからね」
「本当に……?」
「うん。瞳子は、僕が守るよ」
何故、自分だけ名指し?と思いながらも素直に感謝しようと思い、
「―――ありがとう…。……それにしても、クロノア。貴方は何故こんなにもあたしに手を尽くしてくれるの?」
と訪ねてみた。
ずっと気になっていた事だった。