TO-KO
「―――詳しいんですね、アルフレッド様の事…」
「―――一応、ずっと見てきたから。彼よりも俺の方が年上だし」
「え、そうなんですか!?」
「―――まぁ、アルフレッド様が老けて見えるだけだけど」
さすがにこれはそうなんですか、と言えない。
それにしても、目の前の男は一体何者なのだろうと思ってしまうくらい瞳子が知っているベルフェゴールではなかった。本当に目の前に立っているのかもわからないくらい浮き世離れをしている。アルフレッドよりも年上だなんて、信じられないと思った。
しかし、今気づいたことだがベルフェゴールがずっと敬語を使っていない。
彼の特徴であるそれがないとどこか変で。
更に浮き世離れした感じも相まって。
「………本当にベルフェゴールさん?」
「は?いきなり、何?」
「だって、ベルフェゴールさんが敬語を使ってないなんて…不思議で」
すると、ベルフェゴールはフッと軽く笑い向かい合わせにしゃがみ込んだ。そして瞳子を覗き込み、
「何?俺はプライベートまで、変態クソ野郎の運転手でいなきゃいけないワケ?」
と耳元で囁いた。