TO-KO
「…瞳子…。やっと会えた…」
気味の悪い笑みを浮かべながら近付く奏に瞳子は無意識に後退りをしていた。
それでも、橙色の瞳は奏を射抜く。
「っ……、とめて…。彼らをとめなさい、奏!!貴方が命令を出せば止まるでしょう!?」
瞳子はいつの間にか震えていた両手を胸で握り締めながら、叫んだ。
奏はなんのことか分からないきょとんとした顔を一瞬浮かべたが、合点がいったようで後ろを振り向いた。
「……ああ、あれね。…分かったよ」
奏は既に息絶えた観客達を滅多刺しにする忍び達を指差し、スッと手を挙げた。
すると、忍達は直ぐに行動を止めた。
従順さが見えた。そう、目の前の男は彼等の長なのだから、当たり前だ。
「何故っ…、こんなことを…!!」
瞳子は両手を更に強く握りしめながら奏に問う。
「何故?アナタを連れ帰るためさ」
「連れ帰る?捕まえて処分する為、の間違いでしょう?」
「何をいってるんだ、そんなことさせない…。瞳子に何の罪があるっていうんだ」
瞳子は目を見開いた。
てっきり奏は瞳子を罰する為に連れ戻しに来たと思っていたのだ。
「…どういうこと…?」
「瞳子が犠牲になる必要なんかないってことさ。瞳子、帰ろう?いや、違うな。私とどこか「目」の届かない場所へ行こう?」
「っ、あたしは『瞳子』なのよ!?あの世界に帰ったら、神緯がっ…殺される!!」
瞳子は普段の彼女では考えられないほどの大きい声で叫んだ。
「―――正直、私は神緯なんてどうでもいい。アナタさえ、手には入ればいい」
「なっ、だから神緯を置いてきたっていうの…!?今の神緯は誰かの支えがないと…!」
壊れてしまう。
瞳子はクロノアが言っていたことを思い出していた。
「じゃあ何故アナタは、神緯を置いて、この世界に来た?神緯は一番にアナタに寄り添って欲しかったはずだ」
「それは…!神緯が…『瞳子』に罰せられるから…あたしが『瞳子』がいなくなれば!!」
証拠がなく罰せられることはないはずだ。
「―――所詮、それはアナタのエゴだよね。ただ、目の前で彼が裁かれるのを見たくなかっただけ。アナタがいてもいなくても神緯は禁忌を犯した。そんなのは綺麗事だ、瞳子」
鋭く冷めたアイスブルーの瞳が瞳子を真っ直ぐ射抜く。
瞳子は更に目を見開いた。
急に力が抜けたように瞳子はガクッと膝を折り倒れかけた。
「トーコさん!!」
瞳子が床に倒れることはなかった。瞳子と奏の間を風が通り抜けたかのように、シオンが割り込み瞳子を支えたからだ。シオンは、瞳子の脇に手を差し込み背中に回して抱えた。
「し、シオンさん…?何故…」
気味の悪い笑みを浮かべながら近付く奏に瞳子は無意識に後退りをしていた。
それでも、橙色の瞳は奏を射抜く。
「っ……、とめて…。彼らをとめなさい、奏!!貴方が命令を出せば止まるでしょう!?」
瞳子はいつの間にか震えていた両手を胸で握り締めながら、叫んだ。
奏はなんのことか分からないきょとんとした顔を一瞬浮かべたが、合点がいったようで後ろを振り向いた。
「……ああ、あれね。…分かったよ」
奏は既に息絶えた観客達を滅多刺しにする忍び達を指差し、スッと手を挙げた。
すると、忍達は直ぐに行動を止めた。
従順さが見えた。そう、目の前の男は彼等の長なのだから、当たり前だ。
「何故っ…、こんなことを…!!」
瞳子は両手を更に強く握りしめながら奏に問う。
「何故?アナタを連れ帰るためさ」
「連れ帰る?捕まえて処分する為、の間違いでしょう?」
「何をいってるんだ、そんなことさせない…。瞳子に何の罪があるっていうんだ」
瞳子は目を見開いた。
てっきり奏は瞳子を罰する為に連れ戻しに来たと思っていたのだ。
「…どういうこと…?」
「瞳子が犠牲になる必要なんかないってことさ。瞳子、帰ろう?いや、違うな。私とどこか「目」の届かない場所へ行こう?」
「っ、あたしは『瞳子』なのよ!?あの世界に帰ったら、神緯がっ…殺される!!」
瞳子は普段の彼女では考えられないほどの大きい声で叫んだ。
「―――正直、私は神緯なんてどうでもいい。アナタさえ、手には入ればいい」
「なっ、だから神緯を置いてきたっていうの…!?今の神緯は誰かの支えがないと…!」
壊れてしまう。
瞳子はクロノアが言っていたことを思い出していた。
「じゃあ何故アナタは、神緯を置いて、この世界に来た?神緯は一番にアナタに寄り添って欲しかったはずだ」
「それは…!神緯が…『瞳子』に罰せられるから…あたしが『瞳子』がいなくなれば!!」
証拠がなく罰せられることはないはずだ。
「―――所詮、それはアナタのエゴだよね。ただ、目の前で彼が裁かれるのを見たくなかっただけ。アナタがいてもいなくても神緯は禁忌を犯した。そんなのは綺麗事だ、瞳子」
鋭く冷めたアイスブルーの瞳が瞳子を真っ直ぐ射抜く。
瞳子は更に目を見開いた。
急に力が抜けたように瞳子はガクッと膝を折り倒れかけた。
「トーコさん!!」
瞳子が床に倒れることはなかった。瞳子と奏の間を風が通り抜けたかのように、シオンが割り込み瞳子を支えたからだ。シオンは、瞳子の脇に手を差し込み背中に回して抱えた。
「し、シオンさん…?何故…」