dailicious stories
5月
「…失敗したな」
屋上から見る空が広い
5月にしては冷たい風が吹いた
│#5月
│─だちまき
「ねー有紗やばいよっ!!うち智也好きになっちゃったかもっ!」
4月。
久しぶりに同じクラスになった親友の美紀の一言にあたしは固まった。
…あの時言っとけば良かったんだろうなぁ。
さんざん迷った挙げ句、結局あの一言を言わなかったのは、美紀の為か自分の為か。
* * *
「智也まぢうざい!バカ!」
「うっせーなアホ」
教室で騒ぎあう美紀と智也。そしてそんな2人を横目に見るあたし。
…美紀、あんた演技下手すぎだよ。あんな笑顔で言っちゃったら
「智也まぢ好き! 大好きっ!」
って言ってるようなもんだよ
…まぁ智也は気づいてないんだけど
(ギシッ)
胸がきしんだ音がした
「有紗今の見た? 美紀まぢ意味わかんねー」
あたしの前の席に座りながら、笑顔でそう言う智也。
「あっそ。」
鈍感通り越して、無神経な智也にただムカついた