dailicious stories
あたしの小さな最後の望みは、溶けるように消えていった


──1週間前の美紀がフラッシュバックする



『ねー智也さぁ、あたしのことどう思ってんのかな? やっぱ友達かな?』


そう言う美紀の声は震えていて。
唇を噛み締めて下向いていた。

泣きそうになりながら、美紀は続けた。


『友達とかさー、あたしにとっては、一番苦しいかも』


ごめんね美紀。ほんとにごめん…


美紀は既に経験してるんだ知ってるんだ──


お前いいやつだよ
お前は友達だ

その言葉のあとに続く言葉が


だから彼女とは思えない

であることを──



あたし知ってたのに……
近くで見てきたのに……

なのに天秤にかけた。


美紀が離れてくことと傷つくこと
そしてきっと智也をも傷つけること

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