ナマイキオトコの手懐け法

また言い返したくなったがキリが無さそうなので諦め、新たな質問をぶつけることにした。

「ねえ、どうして学年違うのに、中本先輩のこと知ってるの?」

見たこともないから、目の前にいる彼は、バドミントン部ではないはずだ。
それに、先輩はかっこいいとはいえ、学校中に知れているほどの人ではない。

彼と先輩の接点が思い浮かばず、私には不思議だった。

というか、そもそも。

「私は矢野優菜。あなたは?」

私の軽い質問攻めに、彼は少し嫌な表情をみせたが、答えてくれた。

「俺は村瀬俊平」

聞き覚えのある姓。

「…村瀬…って」

「そう、俺は理沙姉のいとこ。だから中本のこと知ってんだよ」

理沙さん、従兄弟さんいたんだ。

てゆうか……

「性格似たらよかったのに…」

「あぁ?」

すぐさま村瀬君の鋭い目が私を睨んできたので視線を逸らす。

「いや、なんでもない。…でも、たしかに似てるね、目元の雰囲気とか」

そう言うと、彼は少し照れくさそうに、でも嬉しそうに頭をかいた。

「…まぁ、血繋がってるからな」

その仕草と表情だけで、理沙さんのことを慕っていることがすぐわかる。

「好きなんだね、理沙さんが」

「…まぁ。俺、弟しかいねぇから、年上の遊び相手は理沙姉だったんだよ」

楽しそうに話す彼は、やっぱり理沙さんと同じ、ほっこりした雰囲気に包まれていた。


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