だいすきだよ 短編集☆
「その制服、隣の町のだろ?わかるよ。俺の母校!」
「えっ?!そうなんですか!?」
「そうそう。…あと、敬語やめろよ?」
「あっ、はいっ…じゃなくて、うん!」
そういうと、ケンゴはニコッと笑った。
「…洋服。買おうか?」
「えっ?」
「好きなの、買えよ?俺が金出すから。」
「でも…っ」
「いいから。俺、こう見えても金持ちなんだぜ☆」
そう言って見せてくれた小銭入れの中身は
1円と5円ばかりだ。
「金持ちって…っ」
私が思わず吹き出した。
「お前っ、1円と5円だっていっぱいあれば億万長者だぞ!!」
と、焦ったようにケンゴが言うので、
私が「でも、1円と5円ばっかりじゃ洋服買えないよ?」というと、
ケンゴは「う、うるせぇっ」とそっぽを向いた。