だいすきだよ 短編集☆
「いらっしゃいませー」
遠慮しても「買う!」の一点張りだったケンゴに
結局折れた私は、
今洋服屋さんに来ている。
「可愛い…」
私が持っているのはパパが生きていたころ
私に買ってくれた少し幼い洋服たち。
でも、外に出ることも
友達と遊ぶこともない私にはパパの洋服だけで十分だった。
「これなんか似合うんじゃね?」
「試着室空いてますよ、どうぞ~」
店員さんに勧められ、試着室へ。
花柄のワンピ-ス。
私には一生縁のなかったひらひら、ワンピース。