【短】これが最後の恋でありますように
「紘斗くん…ちょっといい?」


二人でいるとたまに、こうやって紘斗は女の子に呼び出される。


「ん?何?」


作った笑顔で答える紘斗。

呼び出しの意味も分かってるはずなのに、いつも気付かないフリをする。


「……じゃあ、あたし教室戻ってる」


パタパタと屋上から出て、扉を閉める。


はぁー…。

何であたしが気を遣ってるのか…。




ダメだって分かってるけど、扉越しに二人の会話を聞く。


「あのっ…あたし、紘斗くんのことが好きです!!付き合ってください」


必死に想いを伝える女の子。


「ごめん。俺、今誰とも付き合う気ないから」


紘斗と言えば、いつだって同じ答え。

モテるのに彼女はいらないんだって。

……どうして?
< 19 / 96 >

この作品をシェア

pagetop