【短】これが最後の恋でありますように
「……何?この微妙な距離感」


じっと文句ありそうな目をして、あたしを見る紘斗。


「え!?新庄の言う通り座ったじゃん」


ドキマギしながらも、平静を装って答えた。


「間に人が二人は座れるよな?」


……細い人ならね。


「俺が言いたいこと…分かるだろ?」


それは一体どんな信頼感なのか…。

確かに分かるけど…無理だ、これ以上は絶対無理。




「はぁー…しゃーねーな」


諦めてくれたかと思った次の瞬間、ふわりと小さな風が吹いた。

甘い香りと一緒に…。


「せめてこれぐらいで話そうぜ?」


「……っ」


距離を縮めて座り直した紘斗に、言葉が出なくて俯いてしまう。

ち、近い…!!
< 25 / 96 >

この作品をシェア

pagetop