【短】これが最後の恋でありますように
あたしから視線を外し、スッと前を見据える紘斗。


「……俺の彼女、太陽が好きなんだって」


か、彼女…?

話飛びすぎっていうか…え?何て?


紘斗に彼女がいてもおかしくないけど、今までそんな態度見せなかったのに。


胸がズキッて締め付けられる…。


「俺の彼女さ、元々体が弱くて…外にあんま出られねぇの」


それで…彼女の存在に今まで気付かなかったのかな。




「だから太陽の下で、光をいっぱい浴びるのが夢なんだって」


あたしは何も言えず、ただ黙って話を聞いていた。

衝撃的過ぎて、身動きすらとれない。


「太陽を見てるだけで、元気になれるらしい」


それで…?

いつも屋上だったのは、太陽に少しでも近付くため?


そう考えれば、つじつまは合う。
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