【短】これが最後の恋でありますように
「ある日、小さなことでケンカになった。夜彼女からの電話も無視してたら、一通メールが届いた」


真剣にゆっくり話す紘斗の横顔を、あたしはじっと見つめる。


「『今日はごめんね。あたしは、紘斗の太陽みたいな笑顔が大好き。』って。でも俺は意地張って、返信しなかった」


話の意図がよく分からないけど、ただ静かに話を聞いた。


「今はバカなことしたって、すごく後悔してる…」


あたしは小さく頷いた。




「次の日、俺の携帯に連絡が入った」


……え!?


紘斗の横顔に、いつか見た光が流れた。

それはすごく綺麗な涙。


「……容態が急変して、死んだって」


「えっ」


拭われなかった涙が、ポロポロと零れる。


宝石のような光は、儚く消えていく…。
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