【短】これが最後の恋でありますように
よく笑う奴。

当時のあたしには、それぐらいの印象しかなかった。


いつも人の中心にいる新庄紘斗。

一般生徒のあたし、新山美祢。


同じ教室にいるだけで、接点なんてまるでなし。


特に関わりたいと思ったこともなかったけどね。


だって、あたしは人が集まるところは苦手。

友達だって、狭く深くでいいと思ってた。




そんなあたしにとって、紘斗は眩し過ぎた。


……太陽みたいだった。


悩みなんて一つもない、幸せな奴だと思ってた。


でもきっとそれは、皆思ってたよ。


あんな風に笑うんだもん。


あの笑顔の裏側なんて、誰も考えたことすらなかったと思う。
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