【短】これが最後の恋でありますように
「おーい。美祢?」


目の前で、紘斗の手がヒラヒラと動いている。


「え、何!?」


「さっきからずっとボーッとしてんぞ?」


そう言われて、我に返る。

考え混んじゃってた…。


「美祢まだ時間大丈夫?」


「え?あ、うん?」


「俺、行きたい場所があるんだ」


ニッて笑って、立ち上がる紘斗。

会計を済ませて、外に出る。




「寒ーっ!!」


外の風は冷たくて身構える。

夜だということもあって、空気はすごく冷たい。


「……しかたねぇな」


その次の瞬間、あたしの右手はギュッと握りしめられた。


「え…?」
< 43 / 96 >

この作品をシェア

pagetop