【短】これが最後の恋でありますように
「風邪でもひかれたら困るし」


握られた右手は、ポカポカと温かくて……

うれしさと恥ずかしさの間で、ただドキドキしてた。


繋がれた紘斗の手は、思ったよりも大きくて……

やっぱり男の子なんだなって感じた。


彼女はいつもこうだったのかな?って考えると、相変わらず胸が痛いけど…。

深い意味はなくても、今紘斗と手を繋いでるのはあたし。


それは素敵なクリスマスプレゼント。




「この階段上がるから」


それはどう見ても会社のビル。


「い、いいの!?」


あたしのことなんか気にもせず、非常階段を淡々と上っていく。


誰かに見付かったらヤバイんじゃ…?


それでもあたしが紘斗の手を振り払うわけなんてなく、少し後ろを着いて歩く。


屋上に行く気かな?

太陽…は出てないし、星でも見るの?
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