【短】これが最後の恋でありますように
「ただいまー」


ドアが開いた瞬間、あたしの緊張は一気に高まる。

すると奥からパタパタと足音がした。


「紘斗?早かったのねー…あら?」


目が合ったその人は、きっとお母さん。

若くて綺麗!!




「彼女連れてきた」


サラっと言う紘斗に続いて、あたしはペコッと頭を下げた。


「新山美祢です。いきなりすみません」


どんな反応をされるかとドキドキするあたしに、すぐに笑顔が向けられた。


「外は寒かったでしょう?さぁ上がって。お父さーん、かわいい娘ができたわよ」


そう言いながら、また奥へと歩いて行った。


「ははっ。美祢固いな」


隣でいつも通り笑う紘斗に、少しだけ癒される。

優しそうなお母さんでよかった…。
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