【短】これが最後の恋でありますように
優しく重なった唇。


「今年最初のチュー♪」


無邪気に笑う紘斗は、あたしなんかより全然かわいい。


そしてすぐに、深いキスが落ちてくる。


静かな部屋に響く、唇が合わさる音と甘い吐息。




「はぁ…ヤバ。止まんなくなる」


やっと離れた唇に、少し寂しさを感じる。

あたしは黙ったまま紘斗を見つめた。


「もー、そんな目で見るな。襲うよ?」


顔を自分の腕に埋めた紘斗が、小さな声で呟いた。


「え!?」


冗談だと分かってても、反応してしまう。


「……男は狼って言うじゃん?美祢かわい過ぎて、理性飛びそう」


ドキドキうるさい心臓は、破裂してしまうのかと思う程の音を立てる。


紘斗も少しは、あたしにドキドキしてる?
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