【短】これが最後の恋でありますように
流石にこの時期の屋上は寒いから、手前の階段に座り込む。


普通に考えて、授業中にここまでくる人はまずいない。


「で?本当の理由は?」


「ははっ、やっぱり分かってたか」


軽く笑った後、真面目な顔になる紘斗。




「さっきの授業中寝てたらさ、前の彼女が死んだ夢見た。前はよく見てたけど、最近は全然だったのに…」


少し疲れたような、辛そうな顔をしてる。


「あれだけは怖くて…精神的にきく」


ため息を吐きながら、広げた手で頭を抱える紘斗。


「人って本当に簡単に死ぬんだ。美祢がもし…って考えると怖くて」


紘斗の手は少し震えているようだった。

こればかりは、体験してみないと分からない恐怖なのかもしれない。


その気持ちを全て理解することはできないけど、あたしにもできることはあるはず。
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