【短】これが最後の恋でありますように
横から優しく紘斗を抱きしめた。


「大丈夫だよ。あたしはずっと隣にいるから。どこにも行かない」


誓うこと。

側にいること。


単純だけど、あたしにしかできないこと。


「だから、紘斗もどこにも行かないで?」


紘斗がいるから、あたしがいる。

あたしがいるから、紘斗がいる。


それが当たり前になるように。




「……うん、ずっと美祢といる」


背中に回された温かい腕。


あたしの居場所をくれる紘斗。


お互いの存在が生きる意味になる。


まだまだ小さなあたしたちだけど、人を愛する気持ちは分かってるつもり。


紘斗の喜びは、あたしの喜び。

紘斗の苦しみは、あたしの苦しみ。


それは、相手の全てを受け入れるということ。
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