【短】これが最後の恋でありますように
「紘斗…?」


何も言わない、眠ったままの紘斗を呼ぶ。

寝てるようにしか見えない。


「紘斗?うっ……朝だよ?」


揺すってみても、紘斗は全く反応しない。

何でなの…?


「今日…いい天気…だ…よ?」


ほら、太陽も輝いてるよ?


「お花見…行かない……の?」


あんなに楽しみにしてたじゃん。

夏は泳ぎに行くんでしょ?




「…ひろ…と?」


紘斗の頬に触れてみる。


ひんやりしてて、冷たい…っ。

……寒いの?


「…ひっく。うわーん!!帰ってきてよ!!」


紘斗がいない世界を、あたしはどう生きればいいの!?

実感なんてなくても、涙が止まることはなかった。
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