【短】これが最後の恋でありますように
紘斗といた時間は短いけど、あたしにとっては掛け替えのない時間だった。


笑ったり

泣いたり

怒ったり

拗ねたり


いつだって隣には紘斗がいた。


そしてこれからも、当然ずっと一緒だと思ってた。


離れることなんて…いなくなるなんて、考えたことすらなかった。




毎日病気や事故で世界中の人が亡くなっていることは知ってたのに、どこかで他人事だと思ってた。


人が死ねば、必ず悲しむ人がいるのに。


あたしや紘斗だって、無関係なはずないのに。


自ら命を絶つ人がいれば、生きたくても死ぬ人がいる。


理不尽過ぎるこの世界は、それでも止まることなんてない。


今日もほとんどの人が、何も感じず生きている。


命の重さなんて、考えたこともないって顔をして。
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