回転木馬
『lala〜lalalala』
だんだんと曲になってきた。手を止めることなくコードを変えて行く。
ギターの音で桜が小さく揺れる。目を閉じて。思いのままに。ひとつひとつ。
でも。何か足音が聞こえた気がした。
弾くのを止めて目を開ける。
『あっ』
「あ」
それは突然の出来事で
『k…こんにちわ』
「こんにちわ」
小さく吹く春風に
身を任せることしか
できませんでした。
身体が一気にほてって、言葉が全然出てこない。
「今日はいつものカメラじゃないんだ」
『へ?あ、うん』
ただただ普通の挨拶なのに、すっごい緊張する。
『…なんで?』
「ん?いや先週さ、カメラに自分の写真なかった?」
『へ…』
なんだか一気に嫌な予感が押し寄せて、固まるだけの私。
「あれ俺ね」
…
!!!
やっぱり!!!
…て…ことはね?
ちょっと待って。三希君に寝顔見られたとか………は、恥ずかしすぎるよ!今すぐ穴に潜りたい!
すぐに俯いた。
もうやだ…私っていつもこう。タイミングがすごい悪い。
「びっくりした?」
『ん』
小さく頷くだけの私。
顔が見たいけど
見れないよ
ずっと…
ずっと
ずっと
ずっと
三希君だけに
会いたかったのに