回転木馬
さっきより大分歩いて来た気がする。30分位は経ったかな。
こんなに気持ちいいと何時間でも歩けちゃう、そんなこと思ったけど、とりあえず近くにあったベンチに座った。
大きな桜の木の下。少し強めの風が吹くけど、まだ花びらはしっかりと花を保ってる。
蕾の重さで間近まで落ちて来てるに桜の蕾にシャッターを下ろして、瞳を閉じた。
あ…どうしよ
本当に寝そう…
こんなに気持ちいいんだもん
昨日はお店番頑張ったもん
だから少し…
少しだけなら…
いい…よね………?
―――…
ビクっ
足元にもさっと感じた感触がして目が覚めた。
『んっ?ん゙〜〜〜!ふぁ〜〜〜よく寝たぁ』
[ミャ]
『ん〜ペロぉ』
大きく伸びをしたあと、またベンチに寄り掛かって瞳を閉じて手だけを足元にだらんと下げた。
予想通り擦り寄ってきたペロは、ざらざらしたべろでペロペロ舐めてくる。
『んっふ、くすぐったいよ…ペロぉ…』
この感じ…
すっごい気持ち良くて…
すっごい平和…
もう時間なんて止まっちゃえばいいのに…
そんな呑気なことを真剣に考えていたから本当、全く、全く気付かなかったんだ。
あの足跡に。