回転木馬
「お金は?」
『あ、飲んだ後で大丈夫です。』
「そうなんだ〜」
紅茶を入れてる間にも、女の人達はお店を見ていた。
二人しかいないけど、すごい賑やか。
『どうぞ。』
テーブルに紅茶と角砂糖とマシュマロを置く。
「あっできたって〜!」
「うん、あれ?マシュマロ?」
『はい、紅茶に入れて溶かすと美味しいですよ♪』
「へ〜そうなんだ〜!」
「じゃあただ?」
『まぁ、おまけみたいな、』
「やった〜嬉し〜食べてもいんだもんね?」
『はい、』
「もうかながめついから〜」
「別にいいじゃ〜ん」
私は今高校の通信制に通ってるけど、進学は考えてない。
だけどもし、私も大学生になっていたら、こんな風になっていたのかな。なんて思った。
暫く語ってた二人は、最後に小さな鹿とハートのピアスをお揃いで買って
「また来るね〜」
って帰っていった。一気に戻ってきた静けさに不意に寂しさを覚えた。
コップを下げて窓を閉めようとしたら、空がオレンジ色に染まりかけていた。
時計を見る。もう5時になるんだ。
お店を閉めなきゃ。
私はカーテンを閉めると外に出て、壁にかかった木のプレートを[Close]に架け替えた。
なんとなくまたレジ台について本の続きを読む。
しばらくしてお母さんが帰ってきた。
「ただいま〜あら、お店にいたの?」
『ん、お帰りなさい』
「お客さんきた?」
『女の人が二人で来て紅茶飲んでった。』
「そう。あ、ちゃんとレモン出した?」
買い物袋を一つ私に差し出す。
『あ!忘れた…』
それを受け取る。
「ふっ、やっぱり。今度はちゃんと出してね?」
『うん』
笑いながら2階に上った。