留守番電話
「ゆ、優一くん!!」
誰かの聞き慣れない声で
名前を呼ばれ、振り返った。
今どきの大学生にしては
珍しい黒髪のストレート
の頭をした背の小さい
女の子が立っていた。
「君は……榊原アリサ(さかきばら)さん…?」
「あ、はい。」
決して可愛く美人なタイプ
ではない。地味な暗い娘だ。
「何の用ですか?」
優一が用心深く尋ねた。
「いえ、さっきノートを落としていたから渡そうと…。」
榊原が優一にノートを手渡した。
「あ、ありがとう。」
一応、お礼を言った。
そのとき優一の視界の端に
映った大地の顔が
気まずそうな嫌そうな
表情をしていたのが
分かった。