君を知ったその日から



教室に入ってまず、目についたもの。

前の方の席についている、腰辺りまである黒い髪を無造作に束ねている女。その人は、絵里のよく知っている人物で。その人の姿を見つけ、頬が緩んでいくのが分かる。


「愛ちゃん!!」

「……っ、絵里!!」


絵里の声で振り向いた愛ちゃん。もとい愛子は、絵里の姿を確認するとふわりと笑った。知り合いがいなくてずっと緊張していたようだ。彼女の中にある緊張の糸が切れたようで、安堵の笑みを浮かべている。


「絵里と同じクラスでよかったー!!」

「ウチも!!」


やはり、親友同士というのは盛り上がるらしい。



一部始終を見ていた征登は、笑って男子の集まっているところに足を向けた。


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