君を知ったその日から


それから数日。

そこそこ友達も出来てきて、それなりに楽しく過ごしている。健二はというと、今やクラスのムードメーカーだ。



「彼氏ほしいなー」

―――そんなこと言ってたら飢えてると思われるって。


「好きな人に『可愛い』って言われてん!!」

―――そんなん口だけやっての。


「え、もう別れたん!?」

「浮気しててんで!!ホンマ最低!!」

―――男なんかそんなもんやろ。



………クラスの会話を聞いて、辛口な突っ込みを入れているのは絵里だったりする。もちろん口には出さずに、心の中で思っているだけだ。


「え、絵里……」

「ん、何?」

「思ってること、だだ漏れやで…?」


あたふたしながら、愛子は絵里に言う。ただ、絵里の心の中なんて愛子以外の人には誰も見えないとは思うのだけど。…一応、愛子はバレないように心配しているのだろう。


……あくまでも、一応。

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