君を知ったその日から
「あぁ、大丈夫。愛ちゃんしか分からんって」
「そう、かな…?」
「そうやって。それに、愛ちゃんと以心伝心してたらそれでいいし」
クスッと笑って言うと、愛子はほんのりと頬を赤く染めた。愛子のツボを分かっている絵里ゆえのセリフだ。
多分、そこらの男子よりも愛子を惚れさせるぐらいのセリフ回しはできる。
何せ、愛子は絵里から離れられないのだから。
端から見れば危うい関係に見えるかもしれないけれど、残念ながら本人たちには全くそんな気はない。
「片山ちゃーん。それ、レズ発言スレスレやから!!」
いつから聞いていたのだろう、健二が苦笑しながら絵里に言った。もっとも、そのセリフだけでなく絵里の笑い方にも問題があるのだろうが。
ついでに、愛子はまだ顔を赤くしたままである。
これに、絵里の言動は関係ない。
「2人とも、ホンマに仲良いんやな」
……率直に言うと、征登がいるからだ。
「まぁ、小学生の頃からやしな」
そりゃ、仲良くもなるよ。
クスクスと笑って言う絵里に、征登は微笑した。