君を知ったその日から


いい雰囲気を醸し出している2人を見て、愛子は面白くなさそうな顔をしたのだけど、それは一瞬だったので誰も気付かなかった。


「原田さんって大人しいなぁ」

「え?あ…」

「うんうん。片山ちゃんとは正反対やでな」

「あ、う…」

「ちょっとちょっと!!それ、私がうるさいって言いたいん!?」


健二の少し失礼な言葉に、絵里が突っ掛かる。フシャー!!と、猫のように唸りそうな勢いだ。

せっかく可愛い顔をしているのに、ものすごく勿体ない。



「愛ちゃんは人見知りが激しいねん。んで、初対面とかあんまり慣れてない人とかとは緊張して喋られへんくてさ、よく大人しいって誤解されてるねん。…全然、そんなことないんやけどな。むしろ明るくて可愛いから」


絵里が、そう言う。すると、健二と征登は微笑した。

とても、とても優しく笑ってくれた。


「そっか」

「まだ1ヶ月も経ってないからあんまり分からんけど、片山さんはすごいよな」


原田さんのことよく分かってる。

ふにゃりと征登は笑って言う。整った顔立ちをしているせいか、笑うとさらにかっこよく見える。あどけなさがまだ残っているけれど、それもまたいい感じに可愛らしい。


何の興味もない絵里だけど、この時はドキリとした。

愛子は、顔を真っ赤にさせている。


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